電子書籍とは単に本をキャプチャーしたものではなく、
新たなユーザー体験になる、という評論をちょっと前に読みましたが、
まさにその片鱗を感じさせる作品。
「デジタルノベル」と「脱出ゲーム」という、最近人気のコンテンツを組み合わせることで、
「本を読む」や「ゲームで遊ぶ」とはまた違った体験をすることができるようになっています。
物語は夏休みの最後の5日間のお話。大きく分けて「小説部」と「脱出ゲーム部」の2つの構成で、「小説部」は画面をタップして読み進めていきます。
文字だけではなく時には写真が大きく出たりして、登場人物の表情や雰囲気が分かりやすいです。さらに文字の色、音楽、そしてiPhoneのバイブレーションによって、シチュエーションの変化を表現しているので、普通の読書では感じられないリアルな緊張感を味わうことができ、世界に引き込まれます。
物語の主人公は1日ごとに「異界」と呼ばれる不思議な世界に引き込まれます。この「異界」の中が基本的に脱出ゲームのようになっていて、自分で謎を解いていく形になっています。
周りを調べてアイテムを獲得したり、パズルゲームをクリアしたりしながら進めていきます。トリックの種類も豊富で、適度に頭を使いながら楽しめます。難易度はそんなに高くないと思います。
格闘ゲームのような部分もあります。
ゲームの進行によってはゲームオーバーになることもあります。そんな時は「ヒント」を見ることもできるので、どうしてもクリアの仕方が分からないときは参考にしましょう。
5日間の出来事とはいえ、物語は結構長いです。1回で終わらせるのは普通は無理だと思うので、(というか目が疲れてくると思うので、)途中でセーブすることができるようになっています。
小説+脱出ゲームという構成の面白さもさることながら、物語のストーリーとしてもとても引き込まれるものがあります。先が気になってなかなか途中で終われないことも多いと思います。